日本郵便の国際郵便サービス停止に伴う当社対応について
- Takehito Nakamura

- 8月26日
- 読了時間: 5分
更新日:9月12日

昨今のトランプ政権による関税措置の影響で、私たちを含め物流業界全体が大きな混乱に直面しています。
厄介なのは、情報が断片的かつ不確かで、先行きが見通せない点です。そのため対応策も流動的にならざるを得ません。
業界内では毎日のように関係者同士で情報交換を行っています。「日本郵便の一律80ドル課税は本当に確定なのか?」「クーリエ便での課税は相互関税だけなのか?」「基礎関税は別途かかるのか?」など、議論が絶えませんが、いまだに誰も確かな答えにたどり着けていないのが現状です。
ただ一つ言えるのは、日本郵便のサービスが大きく変化し、海外郵便において日本郵便が大きな混乱が生じていることは間違いありません。
日本郵便による国際郵便サービス停止の背景
ホワイトハウスより「日本から米国への郵便物に対して一律80ドルの関税を適用する」との発表がありました。
これを受け、2025年8月26日、日本郵便は国際郵便(EMS・国際小包・小形包装物)の米国向け取扱いを暫定的に停止すると発表しました。
今回の措置は、受取人が高額な一律課税を理由に商品受取を拒否することで生じる混乱を回避するための暫定対応と考えられます。
この一律課税措置は 2025年8月30日から半年間 適用される予定であり、その間に日本郵便は「簡易通関」から「通常通関」への移行準備を進めるために体制を整えている最中かと予想されます。
2025.9.1追記
現在、アメリカ向けの郵便配送については、各国の郵便事業者が「関税の事前回収(DDP)」方式への対応を迫られています。その中で、イギリスのRoyal Mailは2025年8月から「PDDP(Postal Delivered Duties Paid)」サービスを開始し、アメリカ宛ての荷物に関して事前に関税・税金を徴収できる仕組みを導入しました。
一方、日本郵便を含む他国の郵便事業者は、アメリカの「de minimis(少額免税)廃止」の影響を受け、現在一部の郵便物の受付を制限しています。今後、日本郵便がアメリカ向け配送を本格的に再開する際には、同様にDDP型の仕組みを導入する可能性が高いと考えられます。
当社の対応方針
当社では、日本郵便を利用した米国向け発送を一時停止し、割安クーリエ便(国際宅配便) に切り替えて対応いたします。
クーリエ便は 通常の関税ルール が適用され、現時点では「相互関税15%」が確定しております。
ただし、基礎関税(2~20%)が上乗せされるのか、15%のみで確定するのかについては、8月29日以降の税関運用で明確になる見込みです。
クーリエ便は日本郵便と同等、もしくは若干割高になる可能性がありますが、追跡サービスが確実に機能 しています。
すでに日本郵政で発送済みの商品で8/28以降にアメリカの税関をまたぐ商品。こちらについては現状の情報ですと80㌦の課税がアメリカ人に課せられる可能性が高く、その場合は「え?聞いてないよ」と商品の受け取りを拒否する購入者も出てくるかもしれません。
ただ、大前提として「関税はかかってしまった場合は納税して受け取ってください」と「返品・返金は出来ません」と商品ページではうたっていますので、それを理由に返金・返品に対応することが出来ないのが実態です。
これから受取拒否した商品が日本に返ってきたしまった場合、その商品を再度送り返すための購入者とのコミュニケーションは多発してくると予想されます。
また、日本郵便とは異なり、クーリエ便では DDP(Duty Delivery Paid)方式 によって事前に関税が徴収されます。
発送側が関税を立て替えて納税し、購入者の商品代金と一緒に回収する流れとなります。これまでのように、米国の配達員が受取時に関税を回収する方式ではありません。
その場合は、購入者に送料と一緒に関税分を請求しなければなりませんが、現状、相互関税15%のみを回収すればいいのか、相互関税と基礎関税の両方を課税すればいいのかについては情報が不確かで定まっていません。
2025.9.4追記
2025年のアメリカと日本の貿易合意では、アメリカ向け輸出品のうち、基礎関税率(HTSUS Column 1 General Rate)が 15%未満の品目に対しては、その税率に追加の税を課して 合計で最低 15%の関税率 に設定することが決まりました。基礎関税率がすでに 15%以上の品目については、従来通りその税率が適用され、新たな追加税は導入されません。
たとえば、日本製の三徳包丁のように、従価税率が 4.6% + 定額税率(1 本あたりのセント課税)がある品目で、現在その合算が約 6.4% 程度であれば、この合意によってその関税率は 15% に引き上げられる可能性があります。ただし、具体的な関税率の決定には HTS コードの分類や定額課税部分の扱いといった細かい構成要素が影響します。
今後の見通し
半年後、日本郵便が通常通関へ移行し国際郵便サービスを再開する可能性があります。
2025.9追記
しかし、日本郵便もDDPに切り替える可能税が高いことを予想すると購入者から事前に関税を回収する必要があり、そのためには購入者から正しい関税を回収するための関税額の計算が必要になってきます。
関税額は商品カテゴリーのみならず、商品の材質、原産国、用途によって変動するので、出来れば購入者が商品を受け取る時に課税されるDDU(関税抜き持込渡し)で送った方がこちら側の手間は各段にラクです。
今後DDUを扱う業者はUPSやDHLなどの比較的配送料が高いクーリエ便がメインになってくるため、、クーリエ便とのコストや利便性を比較し、最適な配送方法を改めて検討いたします。
お客様へのお願いとご安心について
今回の措置により、業界全体で情報が錯綜し混乱が生じております。
当社も業界関係者と連携しながら最新情報を収集・共有し、影響を最小限に抑えるべく対応を進めております。
お客様にご迷惑をおかけしないよう、確実かつ透明性のある配送体制を整えてまいりますので引き続きよろしくお願いいたします。
株式会社Gaku
代表取締役 中村岳人
TEL: 03-4540-6262





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